コロナ補償に関しての覚書〜各国の休業補償はどのようなものか?

fclbr.hatenablog.com↑の続きを書いておく
 なお、前の記事で取り上げるはずだったイタリアの30万はソースが見つからず、断念いたしました(わかる方いたら教えて下さい・・・)。

今回の検討ツイート

 もちろん、休業補償も国民負担率によって大きく違うことは言うまでもない。

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https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/17/backdata/01-01-02-06.html

※追記

 書いていくうちに、どうやろこうした休業手当には複数の対策があるらしい事がわかったのでここで書いておく。

 日本においては休業手当として支給されているものが、他の国では部分的失業、一時帰休及び失業給付などで賄われているらしい。部分的失業は短時間労働に切り替え、賃金を減額する代わりに、その減少分を国が支援するタイプ。一時帰休は、一時的に解雇することで賃金の支払いを減少させ、その減少分を国が支援する。失業給付は、文字通り解雇を行い、その代わりに失業給付を受け取るもの。

 

 

 

1 日本の場合

 例えば、日本の例を見ておくと

新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)|厚生労働省

労働基準法においては、平均賃金の100分の60までを支払うことが義務付けられていますが、労働者がより安心して休暇を取得できる体制を整えていただくためには、就業規則等により各企業において、100分の60を超えて(例えば100分の100)を支払うことを定めていただくことが望ましいものです。この場合、支給要件に合致すれば、雇用調整助成金の支給対象になります。

 休業するときは「企業」が「労働者」に「賃金の60%以上」を払う
で、雇用調整金助成金とは

雇用調整助成金 |厚生労働省雇用調整助成金の要件緩和の概要

つまり、「企業」に対して「労働者に払った休業手当の最大90%」を支払う。

では、この時、海外の事例と比較する時、どのようにまとめるのが正しいだろうか?
「政府は賃金補償を行っていない!!」(補償するのは休業手当のため)
「いや、賃金の9割保証している!!」(企業が通常通り賃金を支給しており、9割負担した場合)
 どちらも、正確性にかけるというのが実情であろう。ただ、実際のところは、6割支給に対して、9割補償というのが実情ではないかと思われる。

あと、この休業手当は所得税とか諸々取られる。

 

2 フランスの場合

 そもそも、フランスは大きい政府の一つであることを考えると、84%補償はそれなりに、信用できそうだと思われる。

【新型コロナウイルス】全土封鎖中のフランス ホテル従業員や教師ら市民の声を現場からリポート (1/2)

部分的失業として一時的休業の状態になり、給料(税込み)の84%が補償される。その後、外出禁止期間が終わったら、職場に戻る

額面の70%(手取り額の約84%)を「企業」が「労働者」に支払うということらしい

新型コロナウイルス、フランス経済にも大打撃。 – OVNI| オヴニー・パリの新聞
コロナウイルスによる経済停滞の影響で従業員を一時的な就業停止状態にせざるを得ない企業には、国がその分の給与を法定最低賃金(SMIC)の4.5倍を上限に100%補償すると発表した。

通常は就業停止となった従業員は給与の約85%を雇用者から支払われ、国はそのうちSMIC分しか企業に払い戻さないのだが、今回は例外的措置として企業負担分を全額、国が補償するということだ。

 そして、「国」が「企業が支払った休業手当の10割」を支払う。

大きい政府は手厚い保障ということなんですかね。
(失業保険についてはこちらが詳しいが割愛する。最長2年の失業手当と高い労働権利意識。フランスの社会保険制度運用は成功しているのか? - wezzy|ウェジー

3 ドイツの場合

【新型コロナウイルス】労働者の給与補償、諸外国ではどうしている?<デンマーク、ドイツ編> | 勤怠打刻ファースト
短時間労働給付金とは、雇用者が労働者に対し、解雇の代替案として「労働時間の短縮」を求め、労働時間減少による給与減少分の一部については政府が保証するといった制度のこと(中略)

労働時間の短縮によって生じる賃金喪失分の60%(子供がいる場合は67%)を手当し、社会保険も同庁が全額補償します。

 なので、休業補償とはまた違った制度(失業給付に近い?)を利用して補償しているらしい。

アディダスが賃料支払い延期問題で謝罪 「過ちを犯し、多くの信頼を失った」 | WWD JAPAN.com

雇用者は従業員の労働時間を短縮し、労働時間減少による給与減少分の一部を政府が補塡する。企業が給与の40%を負担し、連邦雇用庁が賃金喪失分の60%を手当する。結果として従業員はフルタイムで働かなくても通常支払われる給与の4分の3程度の金額を受給することができる。

上のようなケースだと、労働時間を減らして、賃金の4割を企業が負担する。残り6割の内の6割、すなわち賃金の36%を政府が支払う。

 上の事例は家賃補助を支払い能力があるアディダスが利用しようとして揉めた事件のニュースです。

4 デンマークの場合

デンマーク語はgoogle翻訳の精度がガバガバでめっちゃ苦労しました・・・。

デンマーク語→英語にしてからDeeplで翻訳したけど間違っていたらゴメンなさい。

【新型コロナウイルス】労働者の給与補償、諸外国ではどうしている?<デンマーク、ドイツ編> | 勤怠打刻ファースト

2020年3月9日から2020年6月9日の3ヵ月間に生じた賃金費用の部分的な払い戻しが受けられるようになるとのこと。具体的には、政府から75%(ただし、月37万円、時給労働者は41万円を上限とする)、企業が残りの25%を負担し、その代わりに労働者は年次有給休暇を5日返上するとの取り扱いとなります。

で、元ソースの方を見ると

Trepartsaftale skal hjælpe lønmodtagere - Finansministeriet

この協定は、COVID-19の影響で経済的に非常に厳しい状況にあるすべての民間企業の従業員に適用され、少なくとも30%以上、または50人以上の従業員の解雇を通知しなければならない状況に直面している場合に適用される。その場合、会社は従業員の給与の75%の給与補償を受けるが、従業員一人当たり月23,000デンマーククローネを上限とする。ただし、従業員は解雇しないが条件。

※仮訳です

で、この企業が出す賃金の25%は必ず出さなければならないのかは不明。

よって、「企業」に対して「賃金の75%」を支払うのが実情と行ったところか?

 

5 イギリスの場合

英政府、雇用維持する企業に異例の補助金 給与の8割 - BBCニュース

従業員がすでに一時帰休させられた企業で、雇用主がこれを中止して休暇扱いに変更し、従業員の雇用を維持した場合、給与の8割をその企業に支給する。(中略)給与補助は額面給与を対象にし、対象期間は3月1日までさかのぼる。3カ月間続ける予定だが、「必要ならば」さらに継続する方針だと財務相は話した。 

 額面給与とは、税金その他が引かれる前の額、すなわち賃金と読み替えても差し支えない。

Lay-offs and short-time working - GOV.UK

契約で未払いまたは減額したレイオフが許可されていない限り、全額を支払う必要があります。

イギリスには休業手当で日本と違って、もとから10割支給?

 「企業」は「労働者」に10割支給、「国」は「企業」に8割支給といったところだろうか。

6 スペインの場合

  私が知る限りでは10割補償は見つからなかった・・・。10割って、まず無いと思うんですけど ?(当然の疑問)

 

 7 結論

 各国の対策について調べたところ、各国それぞれ自分の国にあった対策をとっている事がわかった。そもそも、既存の労働システムが違う以上給付の割合が違うのは当たり前とも言えるし、失業給付、解雇手当によって、評価もまた違ってくるだろう。正直、休業補償だけで比較するのは無理筋とも言える。

 ただ、一つだけ確実と言えるのは、デマをデマというのは労力もかかるということぐらいだろう。コロナウイルスの対策自体は検索していてもよく出てくるのだが、コロナウイルス以前の政策は、かなり見つけづらい。そのため、追加措置ばかりが拡散され既存の政策というのは評価されにくい。休業手当の概念がないのか調べてもヒットしないことも多いので調べるのにも時間がかかる。

ツイッターの公式マークって情報を精査する上では役に立たないんですね。