「持っている株を売り、再び同じ株を買うとき」どのくらい値下がりしたら買うべきか

 資産運用において難しいのは「いつ買うか」と「いつ売るか」の2つだけだ-要出典

 コロナ中の3月からコツコツ買い足したSPXLがこのコロナ相場の上昇を受けて、なかなかいい感じの含み益となっているのだが、所詮は含み益。きちんと確定してまでが資産運用というものだ。最近のコロナ相場は、やや足踏み、調整気味と言った様子。ココをピークと見て、売ってしまいたいんだが、たとえ暴落してでもバイ・アンド・ホールドしたほうがいいんじゃない?という疑問もある。

 なので、今回はタイトル通りの悩みについて考えていく。

なお税金については復興調整等を考えずに2割の税金として考える

最初に買ったときの値をA、今売り出すときの値をB、将来値下がったときに買う値段をC、将来の最終的な値をDと置く。

バイ・アンド・ホールドするときの利益は

\left(D-A\right)\times 0.8

Bの値ときに売り出し、Cの値になったときに買い、Dの値で売るときの利益

[\left( B-A\right)\times 0.8]\times\left( \dfrac{D-C}{C}\right)

2つの式が同じ値で結ばれる時を調べれば良い

\left(D-A\right)\times 0.8=[\left( B-A\right)\times 0.8]\times\left( \dfrac{D-C}{C}\right)

 ここどのくらい値下がりすればバイ・アンド・ホールド戦略と同じ利益を出せるかを調べたいのででC=Btと置き、tについて解いていくと、

t=\dfrac{\left( 0.2A+0.8B\right) \times D}{\left( D-0.2B+0.2A\right) \times B}

となる。

 一応、コレでもtを求める事ができる。

 最初の買値が19ドル、現在売り出したい値を108ドル、将来に到達されると予想される値段を120ドルとすると、t=0.98~ほどになる。よって2%下落が見込めるなら先に売りに出したほうが良いとわかる。なお、この将来の値であるDを1000ドルになると予想すると、t=0.85~となる。

 ではD=10000ドルと見込むとどうなるだろうか?

実を言うと、t=0.83~ほどでそこまで変わらない。この理由は式変形をするとわかる。

この式を式変形すると

t=[0.2 \dfrac{A}{B}+0.8] \times \dfrac{1}{1-\dfrac{0.2A-0.2B}{D}}

に変形することができる。ココで注目してほしいのはDの値が大きくなればなるほど、右側の項は1に近づく。

Dの値がとても大きい値として考えると次の式に近似できる。

t=[0.2 \dfrac{A}{B}+0.8]

 よって、上の買値を19ドル、売値が108ドルの例だと、どんなに楽観的に将来の値を過大に予測しようと、t=0.83~ほどになるということがわかる。