ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」についての誤解

公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構の出している報告書に

インカムゲインキャピタルゲインのリターンに関する記事があったので書いておく

https://www.nensoken.or.jp/wp-content/uploads/rr_29_12-1.pdf

1871 年から 2003 年にかけて、インフレ調整ベースで、株式の累積リター ンの 97%は、配当再投資が生み出してきた。値上がり益が生み出した部分 は 3%にすぎない。(中略)しかしながら、上記論旨を以て、キャピタル・ゲインよりもインカム・ゲインが重要であると説くことは、誤解である

 自分自身、この言説はよく見ていたが、よく分かっていなかったので自分なりの理解を報告書を読みながら書いておく。

 配当を再投資した場合の平均年率はインフレ調整ベースで 7%、再投資しなかった場合は、同 4.5%である。

 キャピタル・ゲインは値上がり利益、インカム・ゲインは配当利益を指す。

①ジェレミー・シーゲル教授は、配当再投資と、値上がり益(キャピタル・ゲイン) とを比較した。

②株式の累積リターン $7,947,930 うちキャピタル・ゲインは$243,386  (3.06%)

③しかし、実際に受け取ったインカム・ゲインは約$90,000(1.13%)

④残りの利益は、複利効果によるものである。

うーむ?わかりにくいので、具体的に考えてみる

例えば1%のキャピタルゲイン、1%のインカムゲインが確定しているファンドに期首100000円投資したとする。

1年目終わりに、元本は101000円となり、配当は1000円、そして再投資する

2年目終わりに、元本は103020円となり、配当は1020円、そして再投資する。

10年終わりに、元本は120704円となり、配当は1195円 合計金額は121899円

配当の合計は元本×1%×10年=10000、値上がり利益は、元本×1%×10年=10000

よって差額分の1899円が複利効果によって生じたものと考えられる。

 この議論の難しいところは配当を再投資したときに、配当から生まれる配当、配当から生まれる値上がり利益、値上がり益から生まれる値上がり益、値上がり益からまれる配当が生じるため、どちらに含めればよいかがわかりにくいところにある。

 むしろ、大切であるのは、インカム、キャピタルの過多ではなく、投資を長く続け、複利効果を十分に享受することにあると言えるだろう。