KINDLE UNLIMITEDで消費した本について5

ドキュメント生還?山岳遭難からの救出 (ヤマケイ文庫)

ドキュメント生還?山岳遭難からの救出 (ヤマケイ文庫)

 

  内容はいたって普通の山岳遭難のドキュメンタリー。実名を出しているとこが、リアリティの担保となっており、また、そこから教訓を導き出しているところが特徴。人は自力下山をしがちであり、冷静になりにくい。無理と思った時点でとどまらなければならない。そういう事がよく分かる事例集であった。

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  また百合ものだが、外面と内面ギャップ、そして百合営業から始まる内面のざわめき。こんなタイトルだが百合度は緩め、またVtuber要素も舞台装置以上の役割はない。だが、軽くて読みやすい作品だった。

 

塀の中の懲りない面々 (文春文庫)

塀の中の懲りない面々 (文春文庫)

 

  よく聞いているが読んだことがなかったので読みました。現在では、囚人たちの生活環境は改善されてると聞いているが、この話はそれ以前の話。しかも、府中という累積犯を対象にした話のため、内容が濃く読み物としてもよく読めるものでした。特に、物相飯やペラを回すという言い回し、個性豊かな変人たち、看守も含めて、きっとリアルではお目にかかることができない話が詰め込まれており大変満足できる内容でした。

 

LiLium-百合アンソロジー・リリウム- Vol.1

LiLium-百合アンソロジー・リリウム- Vol.1

 

  またも来ました、百合アンソロジー。小説ばかり読んできた身としては、正直、内容が短いのがもったいなく感じる。絵が見れるのは利点だけど内容は駆け足にならざるを得ないのが(これは私がただたんにアンソロジーとの相性が悪いだけです)。

 しかし、内容は素晴らしいものばかりでテンプレ王道ひねったのまで何でもござれで、あー創作意欲がビンビンに刺激される!

 

  もし、今回の読み放題で一番読んでよかった作品はどれかと言われれば、これを上げたい。自分は地学に関しては生半可な知識しかないので理屈の批評はあまりできないのだが、作中で語られる科学的、理論的なシーンは緊張感があってよかった。何が良いかというと、こうした理屈付のシーンはどうしても理解できなかったり、間延びしがちなのだが、日本沈没というあまりにも壮大なスケールのため登場人物にその理論を説明するのも自然なことのように思えるし、また、気象学などの知識を含めて説明されるため門外漢の私から見てもわかりやすい。加えて、合間合間に挟まれる、地震火山津波の描写は圧巻のスケールで描かれており、既知の災害などを引用することによりリアリティを上げることに成功している。そして最後に何よりもこの小説のいいところは、日本という国がなくなっても、日本人で居られるかどうか?そういう哲学的な問いに対して、日本、ひいては、日本人をどうにかして生きながらえさせる、政治家、科学者、役人、一般衆中の姿があまりにも美しい!!名作はいつ読んでも名作なのだということが、理解できた!!

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  前のやつの続編、おそらくこれで最終巻(2巻ですけど)。前も話したとおり、あくまで、ゲーム内の転生のため、主人公が知識を先取りしているのも、それでうまくことが進んでしまうのも違和感がなくなっているのが好印象。加えて舞台装置としても、迫りくるエンディングがあるので時限爆弾ものと同様な適度な緊張感を出せるのもうまいと思った。しかし、今回は、先取りしているのにうまく行かない、知識があってもうまく行かないシーンが描かれていて、前回のらくらく感はなくなっていた。が、それ以上に、主人公の頑張りとヒロインのデレが強くなっており、むしろ私は二人がくっつく理由としてもうまくできていると感じた。加えて、すべての登場人物の行動や顛末にも意味があり、有効に活用されておるのが素晴らしい。まるで、上等なパズルを組み立てたようなスッキリとした印象を受けた。百合も百点、小説構成も百点!